流産・死産・新生児死などで、赤ちゃんを亡くしたあなたへ。
その喪失から年数の浅い方であれば、赤ちゃんとのお別れに関するつらい記憶が、くりかえし胸に迫ってきて、苦しい日々をすごしておられることでしょう。
◆◆◆ 悲しみの記憶と、幸せの記憶 ◆◆◆
あなたが傷つき、悲しんでいるのは、
赤ちゃんが来てくれた、その喜びがあったからこそ、なんですよね・・・。
悲しみの後ろには、赤ちゃんを授かったとわかったときの、幸せな記憶があります。幸せの記憶と悲しみの記憶は、コインの裏表のように、一体になっているのです。
◆◆◆ 想いに寄り添う「アートセラピー」 ◆◆◆
今日は、そんなふたつの想いを織り合わせるアートをご紹介します。
いきなり「アート」なんて言われると、「なんで急に?」となるかもしれませんが、
人生の重い課題に取り組むときに色や形を使うことは、とても助けになるんです。
「アートセラピー」という心理療法は、日本ではまだ認知度が高くないのですが、欧米では広く用いられています。
また、「図工や美術は苦手だった・・・」としり込みされる方があるのですが、美しいものを作る必要はありません。上手さを評価するものではないので、心の中の批評家には黙っていてもらいましょう。
◆◆◆ アートワーク「ふたつの想い」 ◆◆◆
制作時間の目安は20分くらいです。
5分程度で終わる場合もあるでしょうし、じっくり取り組みたくなって1時間以上かかるという場合もあるかもしれません。「これでいいな」と自分の心が感じたときが、完成です。
【準備物】
・おりがみ(包装紙などでも可)
・A4サイズ程度の台紙(画用紙。なければコピー用紙や、カレンダーの裏紙などでもできます)
・はさみ、のり
【手順】
① あなたの悲しみの記憶に合うと感じる、おりがみを選びましょう。
② 次に、あなたの幸せな記憶に合うと感じる、おりがみを選びましょう。
選ぶときには、直感で。正解なんてものはないので、「なんとなく」で選べば大丈夫です。
また、1枚に絞り切れなかったら、複数枚でもかまいません。
③ 選んだおりがみを、破きます。
細長く裂いてもいいし、細切れにビリビリちぎってもいいです。また、手で破くのでもいいし、ハサミで切るのでもいいです。
「悲しみの紙」も「幸せの紙」も、ちぎりましょう。
④ 裂いたり切ったりした紙を台紙に貼ります。
どこに、どのように貼るか、決まりはまったくありません。
はじめは「どうすればいいの・・・」って不安になるかもしれませんが、1枚、2枚と貼っていくうちに、次第に「じゃあ次はこうしよう」と滑らかに進められるようになります。
紙を追加したくなったり、紙以外のものを使いたくなったりするかもしれません。
自分の「心の声」に従って、自由に進めていきましょう。
⑤「これで終わろう」という気持ちになったら、完成です。
◆◆◆ 完成後に、作品を眺める時間を ◆◆◆
作品を、初めて見るような気持ちで眺めてみましょう。
作品を90度、180度、回転させて、見てみましょう。制作時とは違う、「この方がいい」という向きがあるかもしれません。
作品の天地が決まったら、裏に日時と、できればタイトルや感想を書きましょう。タイトルは、パッと心に浮かんだ短い言葉を書けばいいのですが、長めの文章でもかまいません。
眺めながら、次のようなことを、自問自答してみるのも、お勧めします。
・何が見えますか?
・作品について、驚いたことはありますか?
・このアートワークは、どんな感情を呼び起こしましたか?
◆◆◆ アートで動く心 ◆◆◆
アートを使って、自分の心と向き合い対話をしていく時間は、頭で知的・理性的に考えるのとは異なる経験です。
「うーん、わからない・・・」のままかもしれませんが、それはそれでいいのです。
アートによって自分の心に働きかけたことによって、理屈とはちがう次元で、心は動き出します。あなたの悲しみの記憶と幸せな思い出が統合されていくプロセスが、奥深くで始まっているんです。
ぜひ、やってみてくださいね。
あなたの心の痛みが、穏やかなものになっていくことを願っています。
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