流産の悲しみを あたたかい涙に変える 

言葉にできない想いを語りあう アートセラピー

1968年生まれ。神戸在住。
公認心理師。
生涯学習開発財団認定アートワーク・セラピスト。
カナダのアートセラピスト国際認定資格取得講座「JIPATT」で学びました。
流産を経験した女性を対象に、
アートセラピーを通じて想いを分かち合い、支えあう場を創り出しています。


2005年、流産を経験。
会ったこともない子どもでも、亡くすのがどんなに苦しいことかを知りました。

このときは、想像の中で葬送の儀式をくり返すことで、少しずつ心の痛みが和らいでいきました。
仕事に打ち込み、また、流産の悲しみはのりこえたと思っていたのです。

ところが、この経験から10年後、流産の体験を話す機会があり、
いまだに涙があふれる自分に驚きました。

流産・死産経験者の自助グループに参加したのですが、感情を押さえて無難な言葉でまとめようとしてしまう自分がいました。
また、家族や友人への信頼や未来への希望をなくし、
自らの生を価値あるものと感じられなくなっている方が大勢おられるということも知りました。
流産によって女性が失うのは赤ちゃんだけではない・・・。

一方、アートセラピーでは、
自分の失敗やつらい過去も含めて、
まるごとの自分を受け入れることができるようになっていく経験がありました。

このことから、流産で深く傷ついた女性には、
非言語療法であるアートセラピーが適していると確信しました。
アート表現活動によって想いを語り合う場をつくり、流産経験者を支えたいと考えるようになったのです。
そして、流産経験者を対象としたアートセラピーの実践を始めました。


美術教員として30年勤務。
延べ約5400人の子どもと共に76000時間以上をアート表現の場で過ごし、
一人一人が安心して自分らしさを表せるような場をつくることを心がけてきました。

その経験を活かし、
流産を経験した方がおだやかにその悲しみをふりかえり、
大切な赤ちゃんと共に生きていく歩みによりそいたいと願っています。
そして、女性が自らを肯定的に受け入れ、自分らしく輝いて生きられる未来を、
いっしょにつくり出していきたいと考えています。