流産・死産・新生児死などで赤ちゃんとお別れしたあなたへ。
あなたは、赤ちゃんとお別れした後、あなたのパートナーとの間で、心の溝を感じることはありませんか?
パートナーである男性の言動を「冷たい」と感じ、孤独の中で苦しんではいませんか?
今回は、男性との心のすれ違いについて考えます。
◆◆◆ 「冷たい」と感じる、男性の姿 ◆◆◆
赤ちゃんとのお別れを経験したあと、男性についてよく聞くのは、
・涙も見せないで過ごしている。
・何事もなかったかのように、普通に生活しているように見える。
・赤ちゃんのことを話したがらない。
・あなたが泣いたり落ち込んだりしている姿を見ると、いやがる。
などです。
こういう姿に接すると、女性の方は、パートナーのことを「赤ちゃんが死んでしまったのに平気なの?」とか「冷たい人だ」とか感じてしまいます。
そして、ふたりの関係が悪くなることにつながることがあります。
でも、こんな「冷たい」ように見える男性が、本当に悲しんでいないのかというと、答えは、NOです。
男性も、もちろん悲しんでいるんです・・・
◆◆◆ 男性の「強くありたい病」 ◆◆◆
しばしば男性は、女性よりも、弱さを見せたくないと感じている傾向が強いようです。
当然、男性だって傷つき、泣きたいときがある。だけどそれを封じ込め、心に鎧をつけて生きてきたのです。
また、「男は、女性を守らなければならない」という信念を持っている場合もあります。
騎士の役割ですね。
騎士が戦場で泣いていては、「か弱い女性」を守り抜くことはできません。だから、悲しみの感情に向き合わないよう、それを振り払います。
そして必死に仕事に打ち込みます。それは、仕事をしていれば赤ちゃんのことを考えなくて済むからかもしれないし、仕事をして経済的に生活を支えることがあなたを守る「騎士の務め」だと信じているからかもしれません。
そんな「闘う姿」が、女性には「平然として見える」ということになる・・・。
つまり、男性は「強くありたい」という病 に罹患していて、冷たいように見えるその姿は、病気の「目に見える症状」なんです。
冷たく見えても、ほとんどの男性は、本当は赤ちゃんとの別れに傷つき、悲しんでいるんだと思います。でも、その感情に向き合いたくないのです。
男は強くなければいけない。泣いてはいけない。そう信じている男性は、
だから、赤ちゃんの話をしたがらない。思い出せば泣いてしまうからです。
だから、あなたが泣いている姿を見たくないのです。自分も泣きたくなるからです。
◆◆◆ 我が家の場合 ◆◆◆
私は流産をしたあと、子どもに名前をつけたいと思い、夫に「一緒に名前を考えよう」と提案したことがあります。
でも、断られました。「今は無理。考えたくない」と言われてしまったんです。
それ以来、夫とは、流産のことや、亡くなった子どものことを話すのを避けるようになってしまったのですが・・・
夫は、この話題を避けることで、この時期を乗り切ろうとしていたんでしょうね、今思えば。
でも、あとになって、私は、夫は自分なりの独特の方法で悲しみに対処しようとしていたということを知りました。
家族旅行で、和歌山のアドベンチャーワールドに行ったんです。流産から数か月後のことでした。
その時、夫が何回も何回も、くりかえしイルカショーを見たがったんです。そして、「イルカはいいねー。癒されるわー」ってずっと言ってるんですね。
そのときは「この人、こんんなにイルカ好きだったっけ?」と不思議に思っていただけでしたが、
数年後に、ポロリと、「あのとき、イルカを見ながら、ちびちゃんのことを思っていた」と言うので、驚きました。
どうも、妊娠が分かった頃に上の子と一緒に神戸の水族園でイルカショーを見たか何かで、イルカと赤ちゃんの思い出が夫の中では繋がっていたらしいんです。
しつこいぐらいイルカショーを見るのが、悲しみを癒すための時間になっていたんですね。
人によって、思い出も、癒し方も、違うものです・・・・。
◆◆◆ パートナーとの関係を再構築するために ◆◆◆
あなたと、あなたのパートナーは、別々の人間だから、同じように感じ、同じようにふるまうということはあり得ません。
あなたのパートナーも傷ついているから、たぶん、いっぱいいっぱいなんです。いつもの彼のような優しさや思いやりを示せるような心のゆとりが、今はないんです・・・
でも、少しずつでも、気持ちを伝えあい、わかり合うことができたらいいですね。
もしかしたらこの危機は、弱っている二人が自力で乗り越えようとするよりも、誰かの助けを借りる方がいいかもしれません。
お二人で、赤ちゃんを亡くした人たちの「お話会」に参加したり、カウンセリングを利用してみるのもいいのではないでしょうか。
あなたと、あなたのパートナーとの関係が、この悲しみを通じてより強い絆になりますように、願っています。
私も、あなたのお役に立ちたいと思っているひとりです。よかったら、声をかけてくださいね。
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