赤ちゃんとのお別れのあと、愛するパートナーまで失うなんて・・・

 

流産・死産・新生児死などで、赤ちゃんとお別れしたあなたへ。

あなたは、あなたのパートナーと、想いを共有することができているでしょうか。

もしかして、パートナーとの間に気持ちのすれ違いが生まれ、孤独感を深めたりしてはいないでしょうか。

 

実は、赤ちゃんを失ったあと、夫婦の関係が悪化することが、しばしばあるようです。
今日は、赤ちゃんとのお別れの後にパートナーとの絆まで失うということにならないために、少し一緒に考えてみたいのです。

 

◆◆◆ 同じ経験だけど、ちがう経験 ◆◆◆

 


赤ちゃんとのお別れを経験し、共に悲しみを抱いているふたりなのに・・・

パートナーの様子や振る舞いに対して戸惑いや苛立ち、怒りなどを感じてしまう。
想いを分かち合いたくてかけた言葉が、かえって相手を傷つけ、心の溝を深くしてしまう。
あなたは、そんなことはありませんか?

 

 

実は、大切な赤ちゃんを亡くしたという共通の経験がありながら、その悲しみのプロセスは、人それぞれです。
たとえ夫婦でも、赤ちゃんに関する思い出は完全に同じではないし、喪失に至るまでの経験も異なっています。

 

例えば、つわりのしんどさや、赤ちゃんの胎動を感じることは女性だけの経験です。
また、例えばママが入院をされていたなら、パパはその間、様々な手続きに奔走されたり、心配しつつも休めない仕事に大きなストレスを感じたりなどの別の経験をしています。

 

赤ちゃんを亡くしたという点は共通でも、経験はそれぞれ違うのです。

 

 

◆◆◆ 悲しみの感じ方に「正解」はない ◆◆◆

 

 

悲しみの感じ方や、その表現の仕方も、人それぞれです。

 

例えば、パパは涙も見せず淡々と赤ちゃんの衣類などを片付ける。そして普段通りに出勤していく。
かたや、ママは何も手につかず、家に閉じこもったままで毎日泣き暮らしている・・・という場合があるかもしれません。

 

ママは、パパのことを「赤ちゃんが死んでも涙も見せない。なんて冷たい人だろう。悲しみを感じていないんじゃないか」と思うかもしれません。
でも、「泣いているから悲しみが深い」「涙も見せないから悲しんでいない」という法則はないんです。

 

 

パパはもしかすると、悲しみのために通常の生活が営めなくなっているママを守り支えなくてはいけないと思い、気丈にふるまっているのかもしれません。
あるいは、自分が壊れそうなほど苦しんでいるからこそ、悲しみに向き合うことができずにいるのかもしれません・・・・。

悲しみ方に「正解」はないのです。

 

◆◆◆ 心の余裕がないときだから・・・ ◆◆◆

 

通常なら、「もしかしたら、・・・ということかな」と相手の身になって考えることができているふたりであっても、赤ちゃんを亡くすという悲劇の中では、どちらも心の余裕がありません。

 

そのために、パートナーの反応や言動が自分と異なっていることが許せないということが起こってしまいます。

 

そして、許せないという想いが積もり積もって、
赤ちゃんを失った上に、パートナーとの絆を失うという悲しみが重なってしまう場合があるのです。

 

 

◆◆◆ パートナーと、想いを語りましょう ◆◆◆

 


どうぞ、お互いの想いを伝えあう時間をとってくださいね。
相手の気持ちを決めつけないで、それぞれの想いを語り、聴く機会を持つことができれば、きっとふたりの絆は今より強くなるはずです。

 

ただ、想いを伝える際の言い方について、ひとつアドバイスをさせてください。
それは、「私は、・・・と感じる」という言い方をすることです。

 

ポイントは「私」が主語だということ。
「あなたは」という言い方をしてしまうと、関係の悪化を招きやすいです。

 

つまり、「あなたは冷たい」と言うのではなく、「私は、あなたの態度を冷たいと感じる」と言ってください。
この言い方だと、あなたの気持ちや感想を伝えていることになりますが、
「あなたは冷たい」と言ってしまうと、これは相手を責め、非難し、人格を否定する言葉になってしまいます。相手は一方的に決めつけられたと感じ、反発します。

 

対話の際は「I(アイ)メッセージ」これはよく知られた対話のコツなので、ぜひ覚えておいてください。「アイメッセージ」で話すというのは、かなり意識してないと、なかなかできないです・・・

 

 

また、お二人だけで語り合うのも大事ですが、
赤ちゃんを亡くした家族のための「お話会」に、一緒に参加されるのもいいかもしれません。ほかのご家族のお話を聴くことで、何かの助けになることがあると思います。

 

あなたとあなたのパートナーとの間に、いたわり合い許し合う関係が築かれますように、願っています。

 

 

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