いのちをコントロールすることはできない

流産・死産・新生児死などで、赤ちゃんを亡くしたあなたへ。おそらくあなたは、「なぜ?」という問いに、心を苛まれていることでしょう。

本当に悲しい、つらいことだけど、その問いに答えが出ることはありません。ただ、こう言うしかない。

「いのちのコントロールは、誰にもできない」と。

 

◆◆ 生死のコントロールは、誰にもできない ◆◆



医療技術が進歩し、昔なら助からなかったような病気が癒されるようになりました。生殖医療も、大きな発展を遂げています。

にもかかわらず、流産や死産は減っていません。

 

生死について考えてみると、

死は、必ずだれにでも訪れます。健康に気をつけて生活していても早く亡くなる人はいるし、不摂生な生活でも長生きする場合がある。それがいつ訪れるのかは、誰にもわかりません。死をコントロールすることはできないのです。

妊娠、出産もそう。
健やかな赤ちゃんを望んで、いろいろなことに気を付けて生活していても、私の赤ちゃんは、逝ってしまいました。

でも、劣悪な生活環境の中でも、生まれる赤ちゃんは生まれます。極端な話、悲惨な紛争地でも、飢餓状態の貧困の中ででも、生まれて、生き延びる赤ちゃんはいるんですよね。(どん底の劣悪環境では、致死率は上がりますから、よい環境を整えることは、もちろん必要ですが)

どうして、あの赤ちゃんは生まれることができ、私の大切な子は死んでしまったのか。それは、本当に、誰にもわからない。

生と死、いのちのサイクルは、人間がコントロールできるものではないのですね。

 

◆◆ コントロールできるという過信を手放す ◆◆



私たちは、ハイテクノロジーの世に生きていて、全てをコントロールできるような気になってしまっているけど、人間の力というのは、ほんとに限定的で、小さなものなのです。

どうして?と問うても、答えは永遠にわかりません。

 

できるのは、その出来事に出会ったときに、どうするかを決めることだけです。

 

何もコントロールできないんだからと自暴自棄になる生き方を選ぶこともできるでしょう。
でも、私は、
与えられたいのちを使って、与えられた出会いを大切にしていきたい。
先に天国に帰って行ったあの子も、私の大切な出会いのひとつ。あの子が胎内に宿り、去って行った出来事を、「なかったこと」にはしない。

 

 

◆◆ コントロールできないから美しい ◆◆

 

いのちのサイクルといえば、季節もそう。
季節がめぐることをコントロールすることはできません。春が過ぎたら夏が来る、そして秋が来て、冬を迎える。

好きなように桜を咲かせたり、雪を降らせたりできたら楽しいかもしれないけど、それは、「季節の恵み」ではなくなります。コントロールできないからこそ、待ちわびた花が咲いたときの喜びがあるんじゃないでしょうか。

 

いのちは、コントロールできないからこそ愛おしいのかもしれません。

 

恵みのいのちを、慈しんで生きる。

 

この思いも、天国にいった赤ちゃんが教えてくれたことのひとつかもしれません。

 

 

◆◆ 悲しむことは、いのちを慈しむこと ◆◆

 


もし、あなたが、赤ちゃんを亡くして間もない方であれば、「コントロールできないからこそ素晴らしい」だなんて、綺麗ごとに聞こえることでしょう。

でも、いつかその悲しみが穏やかなものとなり、この喪失こそがあなたを支える基盤になることを、私は信じています。

そのためには、赤ちゃんを亡くしたその出来事を、「なかったこと」には、決してしないでくださいね。
あなたが今、こんなにも悲しみ苦しんでいることは、いのちを愛おしんでいることと同じなんですから。

 

◆◆ ひとりで苦しまないで ◆◆

 


だけど、この大きな悲しみは、ひとりで耐えるのは苦しすぎる。

だから、あなたの想いを、聞かせてください。

あなたはひとりじゃない。よかったら、私に、あなたのそばにいる役目をさせてください。たちまち悲しみが消える魔法は持っていないけど、寄り添うことはできるから。

 

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