流産は、鬱病などの発症リスクを高めてしまう…

 

流産・死産・新生児死などで、赤ちゃんとの死別を経験することは、当然、大きなショックです。ですが、その中で、妊娠初期の早期流産は、世間では軽く考えられがちな現状があります。

まだ妊娠してから日が浅いから、まだ赤ちゃんへの愛情もそれほど大きくないと思われるのでしょう。

実は私も、そう思っていました。自分が経験するまでは・・・。

 

◆◆ 妊娠初期であっても・・・ ◆◆

 

私が赤ちゃんの死を知らされたのは、妊娠12週頃のことでした。
「赤ちゃんの心音が確認できません」という言葉を聞き、1週間後の再検診でもやはり心音は聞こえず・・・「私の赤ちゃんは死んでしまったのだ」と認めざるを得なかった、あのとき。

まだ会ったこともない、妊娠に気づいてからほんの数週間しか経っていない、そんな関係であっても、
赤ちゃんを失うということが、こんなに大きな衝撃になるとは、それがわが身に起こるまでは思ってもみませんでした。

 

◆◆ 妊娠喪失のショックは、長期間つづく  ◆◆

 


流産の経験は、それが早期の喪失であっても、鬱病などの精神疾患につながりやすいことは、すでに知られているところです。

さらに、精神的な健康への影響は、喪失の直後だけでなく、長期間におよぶ ということが、研究でわかってきているそうです。

2019年のイギリスとベルギーの研究では、次のようになっています。

PTSD中等度から重度の不安中等度から重度の
うつ症状
喪失の1か月後29%24%11%
喪失の9か月後18%17%6%

引用元:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31953115/

9か月を経過しても、18%もの女性がPTSDの症状があるのですね・・・。

 

◆◆ 「もう大丈夫だろう」という感覚とのズレ ◆◆

 

9か月といえば、おそらく世間の感覚では「もう悲しみも癒えただろう」などと考えそうな時期。

「いつまでもふさぎ込んでいては駄目よ」とか、もしかすると「そろそろ、次の妊娠を目指してがんばってみたら」などと「励まし」を受けたりする頃かもしれません。でも、赤ちゃんを亡くしたショックは、いまだ大きく、まだまだ混乱の中にいる女性が多いのです。

大きな心の傷を受けているんだ…ということが、世間の常識になっていってほしい と思います。

初期からのメンタルケアの必要性が認識されていれば、苦しみへの対処の仕方も変わってくるはず。それは、周りの人たちの心遣いの問題でもあるし、当事者である女性やパートナーのセルフケアの問題でもあります。

 

◆◆ 傷ついた心身のケアを ◆◆

 

「たいしたことではない」「早く忘れて、早く立ち直るべき」という見方は、大きな間違いです。

もし、この記事を読んで下さっているあなたが、赤ちゃんを亡くして日の浅い方であれば、決して無理をしないでくださいね。
また、赤ちゃんとのお別れから長い年月が過ぎている方であっても、もしかすると、そのときの心の傷は今でも触れれば血が噴き出るようなものとして残っているかもしれません。


どうぞ、ご自分をいたわって、十分なケアをしてあげてほしいと思います。

 

関連記事

  1. 赤ちゃんとのお別れ:その悲しみを抱いて、心をつなぎたい

  2. 悲しい思い出を忘れたくて、活動しつづけることは・・・

  3. いのちの始まりは、いつなのか?「Grief Unseen」2

  4. 赤ちゃんを亡くしたあなたに、小さな声が届きますように

  5. 赤ちゃんを亡くしても泣かない男性の「強くありたい病」

  6. 流産経験者は、働く女性の5人に1人

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。