「メトロポリタン美術館展展」を観てきました。
名だたる巨匠の名画がずらり勢ぞろいの、見ごたえのある展覧会でした。
その中で、私が時に心に残ったのが、
マリー・ドニーズ・ヴィレール作
「マリー・ジャゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ」
(・・・って、タイトルながっ!)
◆◆ 生きる決意を絵に描く ◆◆
一心に何かを(絵のモデルを?)みつめ、絵を描く若い女性。おそらくは、作者であるヴィリエ。
逆光の中の、凛とした姿に、絵に向き合う道を選んだ彼女の、並々ならぬ決意が現れているように感じました。
明るい室外では、仲よく寄り添う男女が遠くに見えています。
ヴィリエは、男性に頼って生きていく平穏な生活に背を向け、強い思いを持って、絵に向かうのです。
◆◆ 女性を軽視する社会で ◆◆
今の時代でも、女性が正当に評価されているとは言い難いけど、ヴィリエが生きた時代は、もっと女性の地位は低かったのです。
実はこの作品、長く別の男性芸術家の作品とされていたのだそうです。
女性がこんな優れた絵を描くはずがないと思われたり、男性の作品だということにしておく方が売れるという画商の判断があったり・・・という事情があって、彼女に限らず女性の芸術が正当に評価されることは難しかったのですね。
この絵がヴィリエの作品だと認定されたのは1996年(制作されたのは1801年!)のことだったそうです。
◆◆ アートから受け取る力 ◆◆
彼女は、自分の絵が他の人の作品とされてしまったことを、知っていたのでしょうか?それはわからないけれど、少なくとも、自分が正当に評価されていないことは、きっと感じていたでしょう。
それでも絵を描き続け、信じた道を進んでいった彼女の強さを思います。
彼女のまなざしは、私の心に力を与えてくれました。
ぜひあなたも、ヴィリエに会いに、「メトロポリタン美術館展」に足を運んでみてください。
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