「大豆田とわ子」に見る、大切な人を亡くしたときには対話が必要だということ

流産・死産・新生児などで、赤ちゃんとお別れしたあなたへ。

あなたは、その悲しみを、自分ひとりだけで抱えていませんか。
パートナーや、家族、友人などと、あなたの想いを共有できていますか。

実際には、同じ喪失を経験したあなたのパートナーとの間でさえ、語り合うことは難しいのではないでしょうか。

もしかしたら、パートナーは、あなたを大切に思うからこそ、赤ちゃんのことを話すのを避けているかもしれません。
赤ちゃんの話をすることがあなたの悲しみを深くしてしまうと考えるのです。
悲しむあなたを見るのがつらい・・・。そう感じているかもしれません。

 

そしてあなたも、悲しむ自分の姿がパートナーをつらい気持ちにさせてしまうことに気づき、
赤ちゃんの話をしないようにしているかもしれません・・・。

 

そんなあなたに、放送中のドラマ「大豆田とわ子と3人の元夫」をご紹介します。

 

松たか子が3回の離婚歴のある女性を主演しています。「もう、しょうがないなあ~」とため息がでるようなめんどくさい男である元夫たちとの、うまくいかない日常 をコミカルに描いているドラマです。

軽妙なセリフの応酬が実に面白く、心に響く名セリフもあって、何度も見直したくなる作品なんです。

ドラマの紹介ページ

 

さて、赤ちゃんとのお別れについてと、このドラマがどう関係するのかというと、


このドラマの中盤で、主人公とわ子が、大切な人との死別を経験するのです。
大きな喪失を経験をした彼女の姿と、彼女を取り巻く人々との対話が、私にはとても心に残ったのです。

(以下、ネタバレを含みます)

 

◆◆◆ 「大豆田とわ子」に見る、死別体験 ◆◆◆

 

とわ子は、実母の葬儀でも親友の葬儀でも、葬送の後、その午後からは出勤して、社長としての責任を果たす頑張り屋。

親友かごめの突然死から1年が経ち、その間、家庭でも職場でも、「普通に」日常のあれこれをこなしています。
だけど、なんとなく空しい。「元気?」と問われて、元気だよと答えることができません。

 

同じように、かごめの死に大きな衝撃を受けていたのが、1人目の元夫でしたが、とわ子と彼は、お互いに相手が悲しみに囚われていることを知り、気にかけながらも、かごめのことを話すことができないのです。

 

そんなある日、とわ子は一人の男性と知り合います。

 

◆◆◆ 亡くした人への想いを語る ◆◆◆

 

とわ子は、つい口をすべらせたかのように、かごめへの想いを語ります。最期の時に会えなかった後悔や、今でも会いたいと思っていること、かごめとの約束など・・・。

その日、とわ子は久しぶりに、平和な気持ちになってぐっすり眠ります。そして、義務的にこなしていた生活のあれこれを、再び楽しめるようになっていくのです。

 

その後、(途中、あれこれあってからですが)とわ子は、初めて元夫に尋ねます。
「ねえ、かごめのどんなところが好きだった?」

 

このあと、二人の間で、かごめの思い出話が続くのですが、そのときの二人の和やかな表情が、とても印象的でした。
「今でも、ここにいる気がするんだもん。3人で一緒に生きていこうよ」・・・とわ子のこのセリフ、心に刻まれました。

 

◆◆◆ 思い出を語ること ◆◆◆

 

さて、あなたの赤ちゃんの話です・・・。

 

赤ちゃんの思い出を、誰かにぜひ話してみてください。
心に封じ込めままの想いは、あなたの心を重く、苦しいままにしてしまいます。
その苦しさに、もしかしたら次第に慣れて、もう平気だとご自分では思っているかもしれません。
でも、どうぞ、あなたの大切な赤ちゃんの思い出を、なかったことにしないであげてください。

 

悲しみに彩られてはいるけれど、あなたが赤ちゃんと過ごした時間には、笑顔や、うれしい驚きなどもあったはず。
もちろん、怒り、後悔など、つらい想いも、話してください。
話すこと、それを誰かに聞いてもらうことができれば、必ず何かが少し変わります。

 

◆◆◆ 話をきいてくれる人は・・・◆◆◆

 

あなたの想いを聴いてくれそうな人は、身近にいますか?

 

もし、あなたのパートナーや家族、友人に話すことが難しそうなら、他の誰かを捜しましょう。
同じように赤ちゃんを亡くした方が集まる「お話会」は最適です。

神戸では「神戸エンジェライト」というグループが、定期的にお話会を開催されています。

神戸エンジェライトHP

 

私も、あなたを支える力になりたいと願っているひとりです。あなたのお話を、聴かせてください。
よかったら、声をかけてくださいね。

 

 

 

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